介護雑感③ 介護ストレス対策 その2

第二のアプローチは「介護の苦労を分かち合うこと」です。

「介護の愚痴を言い合うこと」と言ってもいいと思います。

介護ストレスはいち早く発散することが大切です。ストレスが積り重なってしまうと心身に異常をきたしてしまいかねません。

私は介護と仕事による疲れと思うように家内が動かないストレスから、二回ほど家内の首に手をかけかけたことがありました。「はっ」と我に返ったそのあとに、大きな自己嫌悪に襲われ、涙が止まらなかったことを昨日のように覚えています。きっとその時は、瞬間的に心が病んでいたのでしょう。それにしても、一歩間違ったら大変なことになるところでした。

介護当初、とにかく私は孤立していました。回りから「何かあったら言ってくれ」とよく言われました。とてもありがたい言葉です。が、当時私は「そんなことを言っても『何か』はいつあるかわからないし、あてにはできない」と意固地になっていました。そしていつの間にか「SOSを出すことは恥」とまで考えるようになっていました。

こうした私を救ってくれたのが、同じような境遇にある方々との出会いでした。お互いのご苦労(愚痴)を語り合い、励まし合いました。そしてその中から「苦労しているのは自分だけではない」「自分よりもっと大変な人もいる」と感じるとともに、介護に対する考え方を学ぶことができました。

「もっと甘えていい。介護は一人では絶対に無理だから」。

この言葉が介護生活当初の自分の荒んだ心をどれだけ楽にしてくれたことか。

出会いは待っていても来てくれません。こちらから動くしかありません。近隣の介護経験者、各地で行われるセミナー、または家族会への参加などいろいろなツールがあります。

中でも家族会は同じようにご苦労されている方々の集まりです。長年介護されている方々が大勢おられます。また特にまとまった家族会になると、すばらしいアドバイスをいただくこともあります。回りに家族会がない場合は、インターネットで自分に合うと思われるところを検索しアプローチしてみるのもいいでしょう。

私は当初、大阪のある家族会にインターネットで入会しました。その団体からいただいた「家族介護者(ケアギバー)の10か条」というメッセージは今でも私の心の支えになっております。

とにかく孤立しないことです。「介護ホリック」になってはいけません。特に男性介護者は要注意です。格好つけずに正直に、つらいことをつらいと言葉にすること。できれば、つらくなる前に状況を訴えサポートをお願いする。

そういう姿勢が日常の介護ストレス緩和に向けた第一歩になると考えます。