介護雑感④ 介護ストレス対策 その3

第三は「別の視点から介護を考える」ということです。

介護はよく「3K(きつい・汚い・暗い)」と言わます。在宅介護している立場からすれば、確かにその通りだと思います。ただ、いつまでも「3K」をひきずっていては、いつか必ず心身に異常をきたすことになるでしょう。

とても辛い日々とは思いますが、「介護を別角度からみてみましょう!そこに介護ストレスを緩和するヒントがきっとあります」というのが3つめの提案です。

結論から言うと、介護には「新しい3K(カッコイイ・感動できる・クリエイティブ)」という側面もあるということです。事例は意外と身近に見られます。

以前、家内が老健(介護老人保健施設)に入所していた時のこと。茶髪でピアスのいかにも「元ヤンキー兄ちゃん」の職員がいました。彼の風貌から「ちゃんと介護できるのだろうか」と不安を感じウォッチしていました。しかし、そんな考えはじきに払拭されました。

ある日、彼が別の職員に「今日の〇〇新聞はどこにある?(入所している)□□さんが△曜日の連載記事をいつも楽しみにしているから見せてあげたい」と尋ねていました。

「元ヤンキー兄ちゃん」のこの言葉、正直、驚きました。そして外見で人を判断してしまった自分を大いに恥じるとともに、改めて介護という仕事の素晴らしさを感じました。

「介護される側の立場」とよく言われます。当たり前のことですよね。大切なのは、苦労の多い介護の中にあって、普段から注意深く当事者の言葉や表情、態度などに目を凝らすことです。その上で、当事者が口に出さなくても、あるいは否定的な言動があったとしても、そこに隠れている肯定的なメッセージをいち早くつかみ、介護ストーリーにつなげてあげる。そして、それが最終的な当事者の満足感、家族や支援者の達成感に結びつく。それこそがまさに「新しい3K」としての介護ではないかと思います。

また一方で、介護する側が機能回復させよう(症状を治そう)と無理するのではなく、いまある(残存している)機能を活かしながら、当事者の好きなこと・得意なことを介護生活の中に取り入れ、少しでも当事者の満足感を高める工夫も必要です。

うちの家内の例で言えば、発動性の低下が著しく、外出は一切せずに暇さえあれば寝てばかりいます。そんな彼女は、実は大の焼肉好きです。それを口実によく外へ連れ出しています。その際には、花を愛でたり近隣の方とふれあったり・・・・・・・・・。外出することの楽しさを感じてもらおうと努力しています。そして焼肉店に入ってからは、肉をよく噛んでしっかり飲み込むという嚥下の練習、いわゆる「焼肉療法」(!?)をおこなっています。

家内はリハビリ然とした訓練をいやがります。そのためにも、リハビリのためのリハビリではなく、通常の生活の中で楽しみながらリハビリできる環境をどう演出するか、かっこよく言えば、「介護シーンのプロデュース」を心がけています。

俯瞰してみると、介護にはいろいろな考え方・視点・切り口があることがわかります。

当事者に寄り添いながら、常にその人にあった介護のあり方を追求するという前向きな姿勢こそ、ストレスを遠ざける一番のポイントであると思います。